
オーストラリアは美しいビーチの宝庫として知られていますが、その中には「ヌーディストビーチ(Clothing-Optional Beach)」として正式に認可された特別なエリアが存在します。
自然との一体感、解放感、そして身体的・精神的なリラックスを求める人々にとって、これらのビーチはまさに“自由の聖地”。
しかし、州によって法律や利用ルールが異なるため、訪れる際には正確な情報が不可欠です。
本記事では、2025年時点での最新情報をもとに、各州の合法ヌーディストビーチを徹底ガイド。
アクセス方法や設備状況、地図・写真素材も交えながら、安心して楽しめるスポットをご紹介します。
1. 全体マップと分類

オーストラリア国内には、2025年時点で正式に法的に認可された“衣服自由ビーチ(clothing-optional)”が州によって定められています。
非公式ながら容認されてきた場所も含まれるため、訪問前には最新情報を確認してください。
法的枠組みは州・領域によって異なり、州による制定や条例に依存します (Sandee)。
2. 州別の主要ビーチまとめ
州/地域 | ビーチ名 | 法的ステータス | 設置年/背景 | 設備・アクセス | 特徴・注意点 |
---|---|---|---|---|---|
NSW(NSW国立公園内) | Obelisk Beach(シドニー) | 正式指定 | 1980年代より徐々に容認 | 徒歩または定期バス+短い登山道 | LGBTIQ+に人気、小規模で静か (Sandee) |
NSW | Samurai Beach(ポート・スティーブンス) | 正式指定 | 指定済みビーチの一つ | 4WDまたは徒歩、キャンプ場あり | 長砂丘、自然豊か、混雑少 (Time Out Worldwide, Sandee) |
NSW(Northern Rivers) | Tyagarah Beach(Byron Bay) | 2024年8月末に衣服自由解除 | 1998年指定➝2024年8月にNSW NPWSが閉鎖に至る (ウィキペディア, ABC, environment.nsw.gov.au) | 車+徒歩、自然保護区内 | 閉鎖原因は風紀・地域住民からの抗議など。現在は完全禁止 (ABC, echo.net.au, environment.nsw.gov.au) |
NSW | Kings Beach(バイロン付近) | 非公式・歴史的容認のみ | 1930年代より使用、公式指定はなし。現在厳罰化の動きあり (ウィキペディア, ウィキペディア) | 車+300 mトレイル、駐車場少 | LGBTQ+の聖地として機能。取り締まり強化と文化遺産登録の試みあり (ガーディアン, ウィキペディア, ウィキペディア) |
VIC(ビクトリア州) | Sunnyside North Beach(マウントエリザ) | 正式指定 | 1983年 Nudity (Prescribed Areas) Act に基づき指定 (ウィキペディア, surfcoast.vic.gov.au) | 駐車場/トイレ/バーベキュー設備整備、徒歩500 m | 潮汐の影響少、安全性高 |
VIC | Point Impossible Beach(トーキー付近) | 正式指定 | 1983年州通知による制定 (ウィキペディア, surfcoast.vic.gov.au) | 車で30分、広い砂浜、駐車場/トイレあり(シャワーなし) | 白砂の長いビーチ、高景観、サーフィン可 |
VIC | Southside Beach(ベルズビーチ近郊) | 正式指定 | 同 Act による制定(1983年) (ウィキペディア, surfcoast.vic.gov.au) | 駐車から長い歩行、階段あり | 満潮時砂浜が狭くなるため注意。標識が盗まれやすい (ウィキペディア) |
SA(南オーストラリア) | Maslin Beach(アデレード南) | 正式指定(1975年初) | オーストラリア初、アジア太平洋初の公式ビーチ (Time Out Worldwide, Sandee) | 駐車場あり、標識で明確に区分 | 毎年「Nude Games」などイベント開催。LGBTQ+歓迎 (Time Out Worldwide) |
WA(西オーストラリア) | Mauritius Beach(エクスマス近郊) | 正式指定 | リンガルー・リーフ沖、自然地帯 | 車+徒歩、設備なし | 野生生物観察に最適、準備必須 (Time Out Worldwide, castawaystravel.com) |
WA | Mindalong Beach(バンバリー) | 慣習的容認 | 比較的近代に使用開始 | ローカルアクセス、設備限られる | 静かな環境、地元愛好者中心 (castawaystravel.com, Sandee) |
3. 歴史と文化的意義

- **Tyagarah Beach(Byron Bay)**は1998年から合法ビーチとして許可されたが、2024年8月30日をもってNSW国家公園当局により閉鎖されました。
理由は土地所有権の再確認および地域住民からの苦情によるものです (ABC)。
閉鎖決定には8,000人を超える署名・抗議活動がありましたが、維持の代替案は見つかりませんでした (Change.org)。 - **Kings Beach(Broken Head、NSW)**は法的には公式のヌーディビーチではないものの、1930年代からLGBTQ+コミュニティによって使われ続けてきた歴史があります。
2025年には文化遺産登録の申請もありましたが、5月に却下されています (ウィキペディア)。
一方で、現在NPWSによる取り締まりが強化され「ヌード禁止」であることを強調する標識・巡回姿勢が取られています(ガーディアン, ウィキペディア)。 - 他州でも、公共ヌードは指定区域外では法律違反で厳罰対象とされており、州によっては罰則として最大2年の懲役・罰金$9,000などが科される場合があります (Change.org)。
4. 最新トレンド・社会的動向

- Dark Mofo(タスマニア)など、冬至に大規模なヌードスイムイベントが若者などを中心に人気を博しており、2024年には3,000人以上が参加した記録的な催しもありました (ABC)。
- NSWでは**シドニー湾での“ヌードクルーズ”**の動画がSNSで話題に──法律上、公の場での全裸は違法であり、指定ビーチ以外では罰則が科せられます (news.com.au)。
- ゴールドコースト(QLD)でもヌードビーチ設置に関する議論が起きており、観光収益として年間約5,000万ドル規模の経済効果が期待されるとする主張もあります (Courier Mail)。
ただし現地自治体は慎重姿勢です。
5. 訪問前チェックガイド ✅

- 現在の法的ステータスを各州公園局サイトで確認
- アクセス経路と設備(駐車場、トイレ、シャワー)を事前調査
- 潮汐情報の確認(特にSouthside Beachは満潮で砂浜が狭くなる)
- ヌーディズムの基本マナー:撮影禁止、静粛さ、他利用者への配慮
- 地域の抗議・閉鎖の背景理解:Kings Beach や Tyagarah Beach を巡る歴史的経緯を把握
6. 深掘りコラム

● LGBTQ+とKings Beachの関係
Kings Beachは、1980年代にHIV/AIDS危機の時代を経て、LGBTQ+コミュニティにとって「聖域」として機能してきた海岸。
そこには体験の共有、追悼、解放といった意味が込められています。
2025年のNPWSによる規制強化以降、地域団体やアーカイブスなどがその歴史を公にする試みが進行中です (ウィキペディア, ウィキペディア)。
● Tyagarah Beach閉鎖の教訓
法人と地域住民の意見対立、土地管理責任の再調査、相談プロセスの欠如が、長年存在していた合法エリアそのものの消滅を招いた一例。
今後、自然保護区域におけるヌーディズムエリア設置には慎重な行政対応と透明な議論が欠かせないことを浮き彫りにしました (ABC, environment.nsw.gov.au, echo.net.au)。
🏖 Obelisk Beach(シドニー・モスマン)
✳ 施設情報・設備
- 公共の駐車場は無く、道路脇の路上駐車(有料または無料エリア)から徒歩でのアクセスとなります(ref: sandee.com) (Sandee)。
- ビーチにはトイレやシャワー、ゴミ箱などの設備は一切ありません。必要なものはすべて持参する必要ありです(ref: wanderlog.com) (Wanderlog)。
- ライフガードは常駐しておらず、自らの判断で水泳する必要があります(ref: sandee.com) (Sandee)。
🚗 アクセスと地図
- ロケーション:シドニー湾(Sydney Harbour)内、Middle Head 国立公園の南側、モスマン地区に位置します(ref: Wikipedia) (ウィキペディア)。
- アクセス方法:Chowder Bay Road から中腹へ降りる階段付きの遊歩道が主要ルート。バスやタクシーでも近くまでアクセス可能ですが、最後は徒歩(ref: travellingtext.com) (travellingtext)。
- 周辺情報:徒歩で Cobbler’s Beach など他の国立公園の海岸にもアクセス可。Middle Head にはカフェや散策ルートもあり(ref: harbourtrust.gov.au) (ハーバートラスト)。
📊 特徴まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
ビーチサイズ | 約80〜90mの小規模、天然の入り江 |
水質 | 非常に透明度が高く澄んだ海水 |
雰囲気 | 静かでLGBTQ+にも人気。家族連れは少なめ |
服装自由区域 | 指定区域内でのみ衣服オプション可 |
注意事項 | 砂浜は狭く滑りやすい。リップカレント注意 |
🏕 Samurai Beach(ポート・スティーブンス)
✳ 施設情報・設備
- トイレ・シャワー・ゴミ箱など一切なし。ビーチでの直営施設や売店などもなく、完全な自然環境のまま。飲食・水は自携が必須(ref: portstephens-australia.com) (Port Stephens Australia)。
- キャンプ場(Samurai Beach Campground) が隣接。予約制・20サイト程度。トイレありだがシャワーはなし。Booking料金と利用ルールがある(ref: portstephens-australia.com) (Hipcamp, Port Stephens Australia)。
🚗 アクセスと地図
- 所在地:Anna Bay 近く、Nelson Bay のさらに北部、Tasman Sea に面する砂浜。
- アクセス:一般車でもアクセス可能ですが、一部未舗装で4WD推奨。主要アクセスは Gan Gan Road や遊歩道(ref: portstephens-australia.com) (トリップアドバイザー, Port Stephens Australia)。
- トレイルアクセス:Tomaree Coastal Walk などのハイキングルートからも入場可(ref: alltrails.com) (alltrails.com)。
📊 特徴まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
ビーチ延長 | 約2.9 km の広大な砂浜 |
アクティビティ | サーフィン(水深ゆるやか)、自然観察、ハイキング |
設備 | なし(飲料・食事持参必須)、トイレはキャンプ場のみ |
安全 | ライフガードなし。遊泳・波乗りは自己責任で |
営業時間 | 日没まで。夕方4:30頃閉鎖される場合あり(ref: portstephens-australia.com) (Port Stephens Australia) |
🏖 Sunnyside North Beach(ビクトリア州・マウントエリザ)
🧱 施設・設備
📍 アクセス地図と位置
- モーニントン半島南部、Port Phillip Bay 西岸沿いに位置。Frankston から約12 km、Mount Eliza に近接していますウィキペディア+13ウィキペディア+13TidyHQ+13。
- Sunnyside Road 終点の駐車場から海まで徒歩500 m程度。右側を進むと、指定のヌーディスト区域に到達できます。岩場や砂礫を通過しますので注意が必要ですウィキペディア。
📊 特徴まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
ビーチ延長 | 約1.9 kmの白砂海岸、ゆるやかな傾斜 |
利用者層 | 家族から自然愛好者まで幅広く、比較的安全な環境 |
波・潮汐 | Port Phillip湾で潮位変動は少なめ |
オススメ活動 | 水泳、釣り、小規模なシュノーケル、BBQ |
注意事項 | 隣接岩場で滑りやすく、足元対策必須。夏季は混雑。駐車場料金(例:6.2 AUD/時間)あり(TidyHQ, BeachSearcher) |
🧭 他州の関連ビーチ
Southside Beach(ビクトリア州・トーキー近郊)
- Point Impossible Beach と並び、Nudity Act 1983 によって正式指定された衣服自由ビーチですBeachfarer+4ウィキペディア+4ウィキペディア+4。
- アクセスは Bells Beach の駐車場または Point Addis Road から階段またはトレイルを経由。
- トイレあり、シャワーなし。満潮時には砂浜がほぼ消失し、一部の標識が盗難や破損の被害を受けていますウィキペディア+1Sydney Uncovered+1。
📌 まとめ
オーストラリア国内で安心して合法的にヌーディズムを楽しめるビーチは限られており、州ごとに法律・管理主体・歴史・文化が異なります。
最近ではTyagarah Beachの閉鎖やKings Beachにおける取り締まり強化と文化遺産登録未承認といった動きがあり、指定ビーチであっても状況が変化する可能性もあります。