
オーストラリアへ旅行や留学に行く前に、誰もが一度は気になるのが「入国時の関税や申告のルール」。
日本とは異なり、オーストラリアは検疫と税関管理が非常に厳しい国として有名です。食品やお土産、現金、さらには薬まで、うっかり持ち込むと罰金や没収の対象になることも…。
この記事では、旅行者が混乱しやすい**「何を申告すべきか」「免税範囲」「持ち込み禁止物」**をわかりやすく整理し、最新ルールに基づいて解説します。
これを読めば、空港で慌てることなく、安心してオーストラリアに入国できますよ。
オーストラリアの関税と入国制度の基本を知ろう

🛃 税関(Customs)と検疫(Biosecurity)の違い
オーストラリアは、世界でもトップクラスに関税と検疫が厳しい国。
理由はシンプルで、貴重な生態系や農業を守るためです。
まず理解しておきたいのが、「税関(Customs)」と「検疫(Biosecurity)」の違い。
税関は「金銭・価値に関する管理」、つまり関税や免税の範囲を確認します。
一方、検疫は「衛生・環境の安全性」に関する審査で、食品・植物・動物由来の製品などが対象です。
つまり、関税はお金、検疫は安全性。両方の視点でチェックを受けることになります。
✈️ 入国の流れと税関審査の仕組み
オーストラリア入国の流れは、以下の3ステップです。
- 入国審査(Immigration):パスポートとETAなどを確認。
- 荷物受け取り(Baggage Claim):預け荷物をピックアップ。
- 税関・検疫(Customs & Biosecurity):申告内容をもとに審査。
ここで重要なのが「Incoming Passenger Card(入国カード)」。
入国カードでは、食品・植物・薬・現金・動物製品などを持っている場合は必ずYESを選択します。
もし未申告で禁止物を持ち込むと、**最大2,664豪ドル(約28万円)**の罰金になることもあります。
🧾 「申告すれば大丈夫」が基本ルール
オーストラリアの関税では、「申告していれば基本的に許可される」という原則があります。
たとえば、チョコレートや紅茶、乾燥ハーブなどは、申告して係官の確認を受ければ持ち込み可能。
逆に、未申告で隠そうとした場合は、たとえ軽微な食品でも厳しい罰金や没収を受けるリスクがあります。
迷ったら必ずYES。正直に申告すれば、係官は丁寧に対応してくれるので安心です。
🌿 なぜここまで厳しいの?
この厳格なルールの背景には、オーストラリア特有の自然環境があります。
島国であるため、外来生物やウイルスが一度侵入すると駆除が非常に困難。
だからこそ「果物1個、種1粒」でも慎重に扱うのです。
オーストラリアの関税・入国制度は、自然を守るための国民的プロジェクトと言っても過言ではありません。
持ち込み禁止・申告が必要な品目

🍖 食品関係:うっかり没収されやすい代表格
オーストラリア入国時に最も多いトラブルが「食品関連」です。
肉製品、ソーセージ、ジャーキー、乳製品(チーズやヨーグルトなど)、果物、ナッツ、穀物、はちみつ、乾燥食品などはすべて申告対象。
一見大丈夫そうなお菓子やカップ麺、だしパックにも動物性成分が含まれていることがあり、没収の対象になることもあります。
特に肉エキス入りスープやインスタント食品は注意。
「申告すれば持ち込める場合もある」ため、内容を英語で説明できるよう、パッケージや原材料表示を残しておくのがポイントです。
🌿 植物・木製品・動物由来の製品
オーストラリアでは、種子・生花・土付きの植物、または木材製のお土産も厳しく管理されています。
木彫りの置物や竹のカトラリーなども、中に害虫やカビが潜む可能性があるため申告が必要です。
また、貝殻や羽根、骨、毛皮、動物の歯などを使用したアクセサリーも、検疫検査の対象になります。
天然素材を使った製品を持っていく場合は、購入レシートや素材説明があるとスムーズです。
💊 医薬品・サプリ・アルコール・タバコ類
医薬品やサプリメントも、種類と量によっては申告が必要です。
・医師の処方薬 → 英文処方箋を持参
・サプリメント → 個人使用分(3か月以内)が目安
・アルコール → 2.25リットルまで免税
・タバコ → 25本まで免税(電子タバコ含む)
免税範囲を超えると「オーストラリア関税」の対象となり、差額が課税されます。
空港の免税店で購入したものでも、合計量を超えると没収・課税の対象になるため注意が必要です。
💰 現金・金製品・電子機器など
1万豪ドル(約100万円)を超える現金やトラベラーズチェックを持ち込む場合は、必ず申告が必要。
また、金の延べ棒・ジュエリー・高額カメラやノートPCなども、商用目的に見なされる場合は関税対象です。
高額電子機器は「自分の使用目的」として明示できるようにしておくと安心です。
⚠️ 「うっかりNG」な実例
実際に没収されやすいのは、空港で買ったサンドイッチや機内食の残り、お土産の漬物・味噌・ふりかけなど。
「これくらい大丈夫だろう」と思って未申告にすると、その場で没収+罰金の可能性があります。
オーストラリア入国では、「迷ったらYES申告」が鉄則。
たとえ申告内容が問題なくても、係官はフレンドリーに確認してくれるので安心してください。
免税範囲と関税対象の目安をチェック!

🎁 オーストラリアの免税範囲とは?
オーストラリア入国時には、一定金額までは関税・消費税(GST)なしで持ち込みが可能です。
この「免税範囲(duty-free allowance)」は、旅行者の年齢と品目ごとに決められています。
主な目安は以下のとおりです:
- アルコール類:最大2.25リットルまで
- タバコ類:25本まで(電子タバコ含む)
- その他の品物(お土産・衣類・家電など):900豪ドル(約9万円)まで
ただし、18歳未満は免税対象が異なり、アルコール・タバコの免税は適用外。
お酒やたばこを購入した場合は、年齢制限に注意しましょう。
💰 免税範囲を超えたらどうなる?
免税範囲を超えた物品には「オーストラリア関税」と「GST(物品サービス税)」が課されます。
たとえばブランド品や家電を多く購入した場合、超過分に対して約10%の税金が加算されます。
空港の税関カウンターで支払いが求められる場合もあり、支払えないと没収の対象になることも。
「少しでも超えるかも…」と思ったら、事前に申告しておくとスムーズです。
👨👩👧 ファミリー・カップル旅行の合算ルール
嬉しいポイントとして、同伴家族(同居者)での免税範囲の合算が認められています。
例えば夫婦で旅行する場合、それぞれ900豪ドルずつ=合計1,800豪ドルまで免税扱い。
ただし、子ども分を親の範囲に合算することは不可なので注意。
複数人で高額品を購入する際は、領収書を分けておくと税関での説明がしやすくなります。
🛍️ 免税店(Duty Free Shop)の注意点
空港の免税店で購入した商品も、オーストラリア入国時には免税範囲内であることが条件です。
「免税店=無制限に買える」と誤解しやすいですが、実際には合計2.25リットル以上のお酒を持ち込むと没収されるケースもあります。
また、液体物は機内持ち込み制限(100ml以内)にも注意が必要です。
💡 実際の関税トラブル例
よくあるのが「ブランドバッグを複数購入して未申告」や「高級時計を2本持ち込み」など。
係官に「販売目的」と判断されると、課税だけでなく没収や罰金の対象に。
オーストラリアの関税は旅行者を罰するためではなく、正直な申告を促す仕組みです。
事前にルールを理解しておけば、スムーズに入国できますよ。
入国カード(Passenger Card)の正しい書き方

🧾 入国カードはなぜ必要?
オーストラリア入国時には、全ての旅行者がIncoming Passenger Card(入国カード)を提出します。
このカードは、税関・入国審査・検疫を一括管理する重要書類。
「どこから来たか」「何を持っているか」「どこに滞在するか」などを英語で記入します。
内容は税関データベースと連動しており、記入ミスや虚偽申告は罰金や入国遅延の原因にもなります。
機内で配布されるので、到着前にゆっくり記入しておくのがベストです。
✍️ 英語で迷いやすい項目の書き方
記入欄には英語で多くの質問がありますが、以下のように理解すればOKです。
| 英語表記 | 日本語訳 | 記入例 |
|---|---|---|
| Family name | 姓 | YAMAZAKI |
| Given name | 名 | JOY |
| Flight number | 便名 | JL773 |
| Intended address in Australia | 滞在先住所 | 10 Smith St, Sydney |
| Do you have any food, plant or animal products? | 食品・植物・動物製品を持っていますか? | YES or NO |
YES/NO形式の質問は迷ったらYESが鉄則。
YESにチェックしても、即没収というわけではなく、税関で説明すれば問題ないケースも多いです。
⚠️ 間違いやすいポイント
- 英語の大文字で記入する(読みやすさ重視)
- 署名(Signature)を忘れずに
- 現地滞在先はホテル名でも可(AirbnbでもOK)
- 他人の代筆は禁止(家族でも本人記入が原則)
- 未記入欄を空けない(「N/A」と書いておく)
また、質問欄の「Have you been in contact with farms…(農場や動物に接触しましたか?)」の項目は、ワーホリや留学で地方滞在する人が誤って「NO」と書くケースが多いです。実際に農場や動物園に行った場合はYESで申告しましょう。
🧳 税関でスムーズに通過するコツ
・記入したカードはパスポートと一緒に提示する
・税関職員の質問には、落ち着いて短く答える
・英語が不安な場合は「This is food gift.」「I’m not sure, but I declare it.」など簡単なフレーズを用意しておくと安心。
申告の際に誠実さが伝われば、係官もフレンドリーに案内してくれます。
💡 電子入国カード(Digital Passenger Declaration)導入の動き
近年は一部ルートで**デジタル版(DPD)**が導入されています。
スマホで事前入力でき、到着時の待ち時間を短縮できますが、対象はまだ限定的です。
現地でのトラブルを防ぐため、紙の入国カード記入方法は今後も覚えておくべき基本スキルです。
トラブル回避のための実践アドバイス

⚡ よくある没収・罰金トラブル
オーストラリアの関税・検疫で最も多いのが、「うっかり未申告」からの罰金トラブルです。
例として、
- コンビニで買ったビーフジャーキーをカバンに入れたまま
- お土産のふりかけや味噌、漬物を申告しなかった
- 空港の免税店で買ったお酒が免税範囲を超えていた
こうしたケースはすべて申告していれば問題なかったものばかり。
係官に嘘をつくと罰金だけでなく入国拒否の可能性もあるため、誠実さが最も大切です。
🧠 旅行前にできる準備リスト
入国をスムーズにするためには、出発前の準備がポイント。
以下のリストをチェックしておきましょう。
- 持ち込み品の内容をスマホのメモや写真で記録
- 食品・医薬品・動植物製品など、該当しそうなものをリスト化
- 入国カードの質問項目を事前に把握
- 必要に応じて英文処方箋や購入証明書を準備
- 申告するものはスーツケースの取り出しやすい場所にまとめる
こうしておくと、税関で慌てずに済み、説明もスムーズに行えます。
💬 空港での英語対応フレーズ集
英語に自信がなくても大丈夫。税関職員は旅行者慣れしており、丁寧に対応してくれます。
以下のようなフレーズを覚えておくと安心です。
- “I’m not sure, but I declare it.”(はっきり分かりませんが申告します)
- “This is for personal use.”(これは個人用です)
- “This is a gift from Japan.”(日本のお土産です)
- “No meat, only snacks.”(肉製品ではなくお菓子です)
ポイントは、曖昧ならYES申告+シンプル英語で説明。これだけで大抵の問題は回避できます。
🧳 万が一、申告で止められたら?
申告した内容に疑いがある場合、係官が荷物を開けて確認します。
このとき、協力的な態度で対応すればほぼ問題なし。
禁止品でなければ、そのまま返却または一部没収で済みます。
「自分は悪くないのに」と感情的になると逆効果。
係官の判断が絶対なので、穏やかに「OK, thank you.」と応じましょう。
🌿 安心してオーストラリアを楽しむために
オーストラリアの関税制度は、厳しいようで実は「安全でクリーンな国を守るため」の仕組み。
ルールを理解して正しく申告すれば、ストレスも最小限で済みます。
入国時に焦らず笑顔で対応できる人こそ、旅の上級者。
トラブルを防ぐ準備をして、気持ちよくオーストラリアの旅をスタートさせましょう!
⚠️ オーストラリア入国・関税に関する注意事項

オーストラリアの関税や検疫は確かに厳しいですが、決して旅行者を困らせるためではありません。
自然環境を守り、国内の安全を維持するための大切な仕組みです。
ここでは、現地でトラブルにならないために知っておきたい注意点をまとめました。
ちょっとした意識と準備で、スムーズに入国できます。
① 「未申告」は最も重い違反行為
一番多いミスは「少量だから大丈夫」と思って申告しないこと。
オーストラリアでは「うっかり」も通用しません。
未申告で食品や植物を持ち込むと、その場で最高2,664豪ドル(約28万円)の罰金。
内容によっては入国拒否や強制帰国のケースも。
迷ったら「YESで申告」——この一言を覚えておきましょう。
② 空港免税店の購入品も対象になる
「免税店で買ったから関係ない」と思いがちですが、免税範囲を超えた分は課税対象です。
たとえばお酒を3リットル購入した場合、2.25リットルを超える分に税金が発生します。
また、機内持ち込みの液体制限(100mlルール)にも注意。
購入時のレシートを保管し、税関で合計量をきちんと申告することが大切です。
③ 食品は「安全そうでも」必ず申告
クッキー、チョコレート、カップ麺、紅茶など、包装がしっかりしていても動物性成分が入っている場合は検疫対象です。
特に日本の調味料や出汁系食品は要注意。
開封済みのものは基本的に没収されます。
**「未開封・原材料が明記・申告済み」**の3条件がそろっていれば、ほとんどの食品は持ち込み可能です。
④ 薬やサプリは英文処方箋を準備
持病の薬やサプリメントを持ち込む場合、英文の説明書または医師の証明書を持参しましょう。
特定成分(麻薬・精神安定剤・ステロイドなど)は輸入規制があり、申告なしでは違法扱いになることも。
旅行者が安心して服用できるようにするためにも、事前確認と書類準備が重要です。
⑤ 関税ルールは「年齢・目的」で変わる
免税範囲や申告条件は、18歳未満/学生ビザ/観光ビザなど、ステータスによって異なります。
また、商用目的(販売・転売)と見なされる量を持ち込むと、課税だけでなく審査時間が大幅に延びることも。
「個人使用」であることを明確に説明できるよう、領収書や商品説明書を用意しておきましょう。
🪙 まとめ:申告のひと手間が、安心な旅のカギ!
オーストラリアは世界的にも関税・検疫ルールが厳しい国として知られていますが、
それは「旅行者を制限するため」ではなく、「自然と人を守るため」。
今回ご紹介したように、関税の仕組み・免税範囲・入国カードの書き方・申告のコツを事前に理解しておけば、入国は驚くほどスムーズに進みます。
重要なのは、「うっかり未申告」が最大のリスクであるということ。
お菓子ひとつ、薬ひとつでも迷ったら「YES」で申告。
係官は誠実な旅行者にはとてもフレンドリーに対応してくれます。
たとえ申告品が禁止物であっても、罰金ではなく「没収のみ」で済むケースがほとんどです。
逆に、隠したり嘘をつくと高額な罰金や入国拒否になる可能性があるので要注意です。
また、**免税範囲(お酒2.25L、タバコ25本、物品900豪ドル)**を超えると、オーストラリア関税の対象となります。
ファミリーやカップルで合算できる場合もありますが、領収書や証明書を準備しておくと安心です。
食品・植物・動物製品・医薬品などはすべて「持ち込みOK/NG」ではなく、「申告の有無」で判断される点を覚えておきましょう。
入国カードの書き方や、空港で使える簡単な英語フレーズを事前に把握しておくことで、焦らずにやり取りができます。
ルールを守る=安全な旅を楽しむための第一歩。
オーストラリアの豊かな自然や文化を守りながら、安心して旅をスタートしましょう。
「申告は面倒ではなく、信頼のサイン」——それがこの国でのスマートな旅のルールです。
🌈 おわりに:安心と笑顔でオーストラリアの旅へ
初めての海外入国手続きは、誰でも少し緊張しますよね。
でも、オーストラリアの関税や入国ルールは、ポイントさえ押さえれば怖くありません。
大切なのは「正直に申告しよう」という気持ちと、ほんの少しの準備だけ。
それだけで、検査官とのやり取りもスムーズになり、むしろ安心して堂々と入国できるようになります。
この記事をきっかけに、あなたの旅がより安全で快適なものになることを願っています。
広大な自然、美しい海、穏やかな人々が迎えてくれるオーストラリア。
入国手続きの不安を解消して、思いっきりこの国を楽しんでくださいね。
“Welcome to Australia!” の笑顔で迎えられる瞬間が、あなたを待っています。



